はじめに
近年、サステナビリティへの関心・重要性は高まり続けており、サステナブル投資は主流となっています。一方で、普段携わっている業務や技術がサステナビリティとどのように結びつくのか、どのように活かしていけるのか、うまくイメージしきれていない方も多いのではないでしょうか。
この連載では、「技術」観点で、テクノロジー×サステナビリティのトレンドや具体事例などを紹介します。全10個の技術テーマを取り上げる予定であり、今回はスマートロボットに注目します。近年、スマートロボットは製造業や物流、サービス業などさまざまな分野で活躍しており、多くの企業で導入が進んでいます。本記事では、スマートロボットとサステナビリティをかけ合わせた時にどのようなトレンドや事例があるのか見ていきます。
スマートロボットのトレンド
ここではまずスマートロボット市場を紐解いていきます。
2024年のスマートロボット市場は208億7,000万ドルと試算されていますが、2030年までに1,273億2,000万ドルに達すると予想されており(※1)、市場は増加傾向にあります。この成長は、生成AIを始めとした技術革新と、それに伴うロボット活用の拡大に起因しています。
スマートロボット市場の拡大とともに、サステナビリティへの貢献も注目されています。スマートロボットは、効率的な作業を通じてエネルギー消費を最適化し、資源の節約や廃棄物の削減を実現します。例えば製造業や物流業界での自動化を行うことで、生産ラインの最適化による労働力削減に加え、資源やエネルギーの無駄を減らすことにも貢献しています。また、家庭用ロボットは効率的な動作計画を立てることで エネルギー効率の向上を促進し、消費の抑止に役立ちます。このように、スマートロボットは単に利便性を提供するだけでなく、持続可能な社会の実現にも寄与しているのです。
これらの取り組みは、「産業と技術革新の基盤を作ろう」や「働きがいも経済成長も」など、SDGsの目標達成にも貢献すると考えられます。一方で、スマートロボットの活用には環境負荷の問題も伴います。高度なセンサー技術やAIによる動作制御を支えるため、多くの計算資源や電力を消費することになります。そのため、再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率の向上が重要な課題となります。
https://www.gii.co.jp/report/ires1602100-smart-robots-market-by-component-hardware-software.html
NTT DATAのスマートロボットにおける取り組み
次に、NTT DATAでのスマートロボットの活用事例、生産性向上や業務効率化に関する取り組みを紹介します。NTT DATAでは、ロボットとAI技術の進化を活用したさまざまな取り組みを行っています。その一つとして、ロボットの導入により作業者の身体的、精神的負担を軽減し、職場環境を改善することを目指しています。ロボットは危険な場所での作業や負荷の大きな作業を代替することができるため、安全性の向上にも寄与します。
この取り組みの一環として、NTT DATAはSmart Roboticsを活用した工場の設備点検および異常検知の自動化に取り組んでいます。広い施設内では点検対象が多く、作業には多くの手間と時間がかかります。特に人間の作業者による高所や狭い場所での点検は危険を伴うため、アクティブセンシング技術を搭載したロボットが自律的に点検を行い、異常を検知した際には作業者に通知する仕組みを開発しています。この取り組みは現場の負担を軽減し、安全かつ効率的な作業環境を実現することを目指しています。
詳細についてはこちらの記事(※2)をご覧ください。
https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2024/1101/
おわりに
テクノロジー×サステナビリティと題して、連載の第6回ではスマートロボットとサステナビリティの関係を解説してきました。本記事で紹介した内容の詳細に加え、ホワイトペーパーではスマートロボットの他社での導入事例の詳細についてもまとめています(※3)。
前述の通り、スマートロボットの活用は生産性向上や業務効率化において重要な役割を果たし、「産業と技術革新の基盤を作ろう」をはじめとするSDGsの目標達成に貢献することができるでしょう。一方で、スマートロボットの利用には多くの計算資源や電力を消費します。そのため、サステナビリティの観点では、今後再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率を向上させることも重要な目標となってきます。
スマートロボットによる業務効率化などのメリットだけでなく、環境負荷などのデメリットについても理解しながら技術を利活用し、「持続可能な社会」を目指していくことが重要です。

図:ホワイトペーパーの構成
NTT DATAでは、「普段業務で活用している技術がサステナビリティにどのように関連するのかを知り、サステナビリティをより身近に感じること」を目的として、全10個の技術テーマについてホワイトペーパーを公開予定です。
次回以降、メタバースやデジタルヒューマン、ブロックチェーンといったテーマについて取り上げる予定です。ご期待ください。
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