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2024.11.25業界トレンド/展望

脱炭素社会 生き抜くための指針(3)サーキュラーエコノミーと工場や都市の「スマート化」(前編)

サーキュラーエコノミーを社会実装するために、これから企業ではどのような取り組みが求められるのか。具体的なデジタル技術の活用法を含む事例を紹介しながら解説する。

※本記事は、日刊工業新聞の月次連載「脱炭素社会 生き抜くための指針」の第二回(2024年11月20日)の内容を転載しています。

目次

サーキュラーエコノミー(循環経済)に向けて

前回は蓄電池における資源循環の取り組みについて紹介を行った。今回はサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みについて紹介したい。サーキュラーエコノミーの概念は、資源循環だけでなく、資源回収・再利用を前提に、バリューチェーン全体での抜本的なビジネスモデル変革を通じ、経済成長と雇用創出も期待されている点に特徴がある。日本では第五次循環型社会形成推進基本計画において、サーキュラーエコノミーへの移行を国家戦略として進め、徹底的な資源循環を図り、循環経済関連ビジネスの市場規模を2030年に80兆円、2050年に120兆円を目指すとしている。欧州では強制力のある「規則」として2024年7月に「持続可能な製品の為のエコデザイン規則」が公布された。着目すべき点は、設計時点で製品の容易なリマニュファクチャリングの実現を含む環境配慮設計を規定していることであり、設計時点で二酸化炭素(CO2)排出量の少ない素材選定や地産地消を想定した調達、部品の循環利用が容易な設計等が求められている。その対応には、環境配慮設計に適した設計用データの整備、特に製品生産時や利用時の製品別カーボンフットプリント(CFP)の一次データ蓄積が重要となる。

<リマニュファクチャリングの概念図>

工場や都市の「スマート化」が必要不可欠

CFP算定には一次データと二次データという考え方があり、一次データとは製造機器等から製品固有に得られるデータ、二次データとは業界平均値や推定値等を指す。二次データを元に算定されたCFPは、実際のCO2排出量との乖離が大きくなる上、利用する二次データにより値が変わる。従って、製品別CFPの一次データの収集は、競争力強化の上でも非常に重要である。さらに環境配慮設計に必要なデータを整備する為には、いつ・どこで・だれが・どのように製品を生産・利用したか等のデータを取得・蓄積する必要があり、工場や都市の「スマート化」、即ち製造機器や製品が“繋がる”こと無しに実現し得ない。欧州では製品の生産・利用時の情報をデジタル情報として記録・共有することを前提とした“デジタルプロダクトパスポート(DPP)”というコンセプトが提示され、先行して制度化を進めている。最終的にはあらゆる業界・製品を対象にする構想だが、直近では2022年に採択された欧州電池規則に即し、車載電池を皮切りに開発が進んでいる。次回は工場や都市の「スマート化」実現に向けた具体的な取り組み事例を紹介する。

カーボンニュートラルについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/carbon-neutral/

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