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2024.12.20業界トレンド/展望

脱炭素社会 生き抜くための指針(4)サーキュラーエコノミーと工場や都市の「スマート化」(後編)

サーキュラーエコノミーを社会実装するために、これから企業ではどのような取り組みが求められるのか。具体的なデジタル技術の活用法を含む事例を紹介しながら解説する。

※本記事は、日刊工業新聞の月次連載「脱炭素社会 生き抜くための指針」の第二回(2024年12月18日)の内容を転載しています。
目次

工場や都市の「スマート化」実現に向けて

前回はサーキュラーエコノミーと一次データの重要性について説明を行った。今回は工場や都市の「スマート化」実現に向けた取り組み事例を紹介したい。日本経団連によると、サーキュラーエコノミーを実現するためには、デジタル技術を積極的に活用し、リマニュファクチャリングを想定したビジネスモデルや、材料構成・設計情報といった機密情報の共有を含む企業間連携の構築に取り組む必要があるという。欧州では「EUデータ法」として、企業・組織間で安全なデータ共有を図るための概念「データスペース」の設置に踏み込んだ法規制が制定され、2026年9月には製品・サービスによって生成・収集されたデータへ利用者が直接アクセスできる製品設計の義務化を予定している。「データスペース」の一例である「Catena-X」では、自動車部品ごとのデータを企業間で共有するデータ流通基盤の構築を進めており、車両や部品の寿命最大化や使用済み部品の効率的な回収を実現するために、製造時のデータと利用者や都市のデータを活用し、部品「個体」ごとの製造・使用・修理履歴に基づいた適切な価値・性能評価を目指している。

今後の方向性

これまで工場や都市の「スマート化」は、生産性や利便性向上が主眼であったが、今後は環境に対して持続可能性を追求することが必要になる。例えば、温室効果ガス(GHG)排出量を最適化するために、使用エネルギーのGHG排出量に応じて製造機器の最適な利用を実現するエネルギーマネジメントの取り組みや、利用者や都市とデータを共有し、製品の長寿命化やGHG排出量の最適化に繋がる運用サービスを提供する、といった取り組みが必要となる。仏ミシュランでは、タイヤにセンサーを装備することで摩耗の度合いを把握、製造履歴データと照合することで適切なメンテナンスを施し、継続利用を可能とするサービスや、使用済み製品を100%回収・原材料化する資源循環システムを構築している。蘭アムステルダムでは、都市データプラットフォームを構築し、様々な製品や公共財と繋がることで、交通流、エネルギー使用量、公共空間の利用状況など、多様なデータを収集・分析・公開し、2050年に完全な循環経済の実現を目指している。これらの事例のように、今後は企業同士や都市・利用者とのデータ共有を前提とした仕組みの構築が加速すると思われる。次回は資源循環と密接に関係するエネルギーの非化石化について解説を行う。

図:サーキュラーエコノミーと工場や都市の「スマート化」

カーボンニュートラルについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/carbon-neutral/

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