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2025.1.27業界トレンド/展望

脱炭素社会 生き抜くための指針(5)エネルギーの非化石化について

サーキュラーエコノミーを社会実装するために、これから企業ではどのような取り組みが求められるのか。具体的なデジタル技術の活用法を含む事例を紹介しながら解説する。

※本記事は、日刊工業新聞の月次連載「脱炭素社会 生き抜くための指針」の第五回(2025年1月15日)の内容を転載しています。
目次

非化石エネルギーの必要性と重要性

前回はサーキュラーエコノミーと工場や都市の「スマート化」について紹介した。今回は、資源循環と密接に関係するエネルギーの非化石化について考える。エネルギーの非化石化は、脱炭素や環境保全、エネルギー安全保障の観点からも極めて重要な課題である。現状では、人間の活動が地球に与える負荷(エコロジカルフットプリント)は、地球が供給可能な再生可能資源と廃棄物吸収能力(バイオキャパシティー)を大幅に上回っており、持続可能性が危機に瀕している。この課題への解決策として注目されているのが、バイオ燃料や合成燃料の利用である。バイオ燃料は既存の内燃機関やインフラを活用でき、移行が容易である上に、廃棄物を原料とすることで資源循環に寄与する。一方、合成燃料はグリーン水素とCCUS(炭素回収・再利用技術)を活用し、カーボンニュートラルな燃料供給を可能にする。特に航空や海運など、脱炭素化が困難な分野での利用が期待されている。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2050年までにバイオ燃料が輸送部門のエネルギー供給の20%以上を占めると予測しており、環境負荷の軽減だけでなく、新たな産業や雇用の創出が期待されている。

エネルギーの非化石化を実現するための仕組み

バイオ燃料や合成燃料の商用化促進と普及の鍵となるのが、データ流通基盤とカーボンクレジット取引である。商用化を進めるには、ISCC(国際持続可能性および炭素認証)やRSB(持続可能なバイオマス基準)に代表される、持続可能性認証の取得が不可欠である。これらは資源の調達から最終利用までのトレーサビリティー確保を求めている。例えば、バイオ燃料では、原料調達から最終利用に至るまでの温室効果ガス(GHG)排出量を定量的に評価し、その結果を信頼性のある形で示す必要がある。このプロセスを支えるのがデータ流通基盤である。データ流通基盤は、バリューチェーン全体の透明性と一貫性を保証し、ライフサイクル全体での削減効果を可視化する仕組みを提供する。また、カーボンクレジット取引は、GHG削減量を市場で売買可能なクレジットとして転換し、収益化する重要な仕組みである。これにはデータの正確性と透明性が欠かせず、データ流通基盤がクレジット取引の信頼性を支える役割を果たす。こうした仕組みにより、非化石エネルギーの普及と進展が加速すると考えられる。次回は、環境価値を経済価値に転換する方法について解説する。

図:非化石エネルギーの生産・利用と環境価値取り引き

カーボンニュートラルについてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/carbon-neutral/

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